米粉とは

米粉は米を砕いて粉状にしたもので、原料となる米の種類によって呼び方が変わります。代表的なものとしてはうるち米を原料とする「上新粉」、もち米を原料とする「もち粉」「白玉粉」があり、古くから和菓子の材料として親しまれてきました。
近年では、より粒子の細かい米粉である「微細米粉」が市販されるようになり。パンや洋菓子、麺類やその他の料理にも幅広く米粉が活用されるようになりました。また、米粉にはグルテンが含まれておらず、「ノングルテン・グルテンフリー食材」としても注目を集めています。(※1,2)
米粉の栄養素
米粉は100gあたり356kcalで、食物繊維や難消化性のたんぱく質を含みます。小麦粉と比べて必須アミノ酸であるリジンを多く含み、アミノ酸のバランスがよく、たんぱく質の栄養価が高いことが特徴です。(※3,4)
小麦粉とは

小麦粉とは、小麦を製粉したものを指し、小麦粉特有のたんぱく質である「グルテン」の含有量によって薄力粉、中力粉、強力粉などに分類されます。 グルテンは、生地の弾力や粘りを生み出す特徴があり、パンや麺類、お菓子などの材料として幅広く使用されています。
小麦粉の栄養素
小麦粉は、薄力粉で100gあたり349kcal、中力粉と強力粉で100gあたり337kcal。小麦粉の栄養価は種類によって異なります。たんぱく質は強力粉、中力粉、薄力粉の順に多く含まれ、逆に炭水化物は薄力粉、中力粉、強力粉の順に多く含まれています。一方、カロリーや脂質量は、小麦粉の種類による大きな差はありません。(※5,6,7)
米粉と小麦粉の違い

グルテンの有無
米粉と小麦粉の大きな違いのひとつは、たんぱく質の一種であるグルテン(グリアジンやグルテニン)が含まれているかどうかです。小麦粉は水分と結びついてグルテンを形成することにより、独特の粘りや弾力を生む特徴があります。一方、米粉にはグルテンが含まれていません。グルテンは体質によってアレルギー反応を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
必須アミノ酸の含有量
必須アミノ酸は人が体内で作ることができない栄養素です。アミノ酸には20種類あり、そのうちひとつでも欠けるとたんぱく質を合成できないため、必須アミノ酸は食事から摂る必要があります。
米粉は小麦粉と比べて、必須アミノ酸がバランスよく含まれています。必須アミノ酸の充足度合いを示す「アミノ酸スコア」は小麦が41であるのに対し、米は65と上回っています。(※8,9)
油の吸収率
小麦粉の油の吸収率が38%であるのに対し、米粉は21%と、米粉は小麦粉よりも油の吸収率が低いという違いがあります。そのため、米粉を使った揚げ物はヘルシーな仕上がりとなり、冷めたあとでもサクサク感が長持ちします。(※8)
食感
米粉で作られたパンや麺は、一般的な小麦粉で作られたものと比べて、もっちりとした食感が特徴です。また、米粉で作るロールケーキはふわふわで口どけのよい仕上がりになります。
ただし、米粉は小麦でんぷんと比べて、時間が経過すると固くなりやすいという性質があります。固くなった場合は温め直すとおいしく食べられますよ。(※1,4,8)
米粉を使うメリット
小麦アレルギーでも安心
米粉には小麦アレルギーのもととなるグルテンを含まないため、小麦アレルギーの人でも安心して食べられます。ただし米粉製品によっては小麦粉や小麦グルテンを含むものがあるので、小麦アレルギーで米粉製品を選ぶ場合は必ず表示を確認するようにしてください。(※1,4)
腹持ちがよい
米粉には食物繊維や難消化性でんぷんであるレジスタントスターチを含むため、腹持ちがよく、小麦粉に比べて水分を吸収しやすく満足感が得られやすいという特徴があります。(※4)
揚げ物がヘルシーに仕上がる
米粉は小麦粉よりも油の吸収率が低いため、から揚げや天ぷらなど、揚げ物の料理が通常よりもヘルシーに仕上がります。ダイエット中だけど揚げ物が食べたい時など、油分ややロリーを少しでも減らしたい時におすすめです。
ダマになりにくく調理が簡単
米粉は油分が少なくサラサラとしているため、ダマになりにくいという特徴があります。ホワイトソースやシチューを作るときなどは、事前に水分と混ぜておけばダマにならずに手軽に作ることができます。
【関連リンク】
また、小麦粉を使ってお菓子を作る場合には一度ふるいにかける必要がありますが、米粉の場合はふるう工程を省略できます。調理工程の多いお菓子やパンづくりですが、米粉を使うとより手軽に挑戦できますよ。(※1)
米粉と小麦粉の違いを理解して使い分けよう

米を原料とする米粉はグルテンを含まないため、小麦アレルギーでパンやケーキといった小麦製品が食べられない人でも、米粉製品であればおいしく食べることができます。また米粉には独特のもっちりとした食感やダイエットに役立つはたらきなども備えており、小麦粉の代わりとしてのグルテンフリー食材には留まりません。米粉と小麦粉の違いを理解したうえで、上手に使い分けてみてくださいね。
【関連リンク】
【参考文献】
※1 広がる米の可能性 カラダにやさしい「米粉」の魅力|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2011/spe1_03.html
※2 米粉の種類と主な製品|農林水産省
https://www.maff.go.jp/tokai/seisan/shinko/komeko/attach/pdf/index-4.pdf
※3 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」穀類/こめ/[うるち米製品]/米粉
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01158_7
※4 消費者の皆様からの良くあるご質問|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/k_suisin_kaigi/07/pdf/tohosnk2.pdf
※5 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」穀類/こむぎ/[小麦粉]/薄力粉/1等
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01015_7
※6 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」穀類/こむぎ/[小麦粉]/中力粉/1等
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01018_7
※7 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」穀類/こむぎ/[小麦粉]/強力粉/1等
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01020_7
※8米粉をめぐる状況について|農林水産省
https://www.maff.go.jp/chushi/kome_syoukaku/komeko/attach/pdf/191209-21.pdf
※9 アミノ酸|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-001.html
(2024/02/27参照)