米粉フェアに参加する全国の小売店で、米粉売り場が拡大中。今回は2023年11月にオープンした『富澤商店 丸ビル店』を訪れ、米粉フェアの様子や取り扱っている商品をご紹介。小売りだけでなく卸しも行う『富澤商店』だからこそ気がついた、米粉の魅力や人気の背景についてもスタッフさんに伺いました。
創業100年以上の老舗である『富澤商店』の歴史について教えてください。
1919年に東京都町田市にて”海の乾物屋さん”として誕生しました。当時は、海苔や昆布、鰹節、するめのほか、カニや鮭の缶詰などを取り扱っていました。同業他社との差別化を図るため、品質の良いものを仕入れ、小分けにして適正価格で販売するのが特徴でした。
1970年頃になると、日本では家庭用オーブンが普及。それをきっかけに、高品質の小麦を小分けにして販売するように。パン屋さんが使っている本格的な小麦粉が買え、また種類も豊富だと話題になりました。
その後はお菓子教室を開いたり、ECサイトを設立したりと規模を拡大し、現在は全国80以上の直営店舗を展開しています。
海の乾物屋さんとして始まり、現在はどんな商品を取り揃えているのでしょうか?
店舗とECサイトでの販売を中心に粉類はもちろん、チョコレートやナッツ、ドライフルーツなどの製菓・製パン用材料を取り揃えています。産地や品質にこだわっており、その数は店舗では最大3300、ECサイトでは9000以上。最近ではスパイスや自社オリジナルのおつまみ、お菓子なども好評です。
商品数の多さもそうですが、製菓・製パンに関する王道の材料だけでなく、スーパーには売っていないような商品も販売しているのが当社の強み。ひとりでも求めているお客様がいるなら、その商品を取り扱いたい、と考えているんです。
特に多いのは粉物で、小麦粉だと銘柄だけで100種以上。米粉は、和菓子用も含めて用途によって異なる加工のものが使われるので、この「丸ビル店」だけでも約20種類以上ご用意しています。 「丸ビル店」では、富澤商店初の料理・お菓子・パン作りのイベントやレッスンをライブ配信できるキッチンスペースを店舗に新設しました。こちらで米粉のパン作りを発信しているインフルエンサーさんによるイベントも予定しています。
今回米粉フェアにご参画いただいた理由を教えてください。
国内で自給自足可能な作物であるお米、そして米粉の消費拡大を目指していくという趣旨に共感したからです。国産米粉の販売をリードしている企業として持続可能な食文化の発展に貢献したい、そして良質な国産食材の価値を知ってほしいと思っています。
米粉フェアの内容や、取り扱うおすすめの商品について教えてください。
米粉フェアは直営店舗で2月末まで実施予定。商品に興味を持っていただけるよう、各店陳列に工夫をしています。また、米粉商品の使い方などについてのライブ配信、公式サイトでのレシピの公開など、米粉をより楽しんでもらえるコンテンツを用意しています。
おすすめは、熊本県産のミズホチカラというお米を使用した米粉です。米粉に適した品種で、加工方法や粒子の細かさなどが異なるパン用と製菓用の2種をご用意。パンを作るとみずみずしくしっとりとした食感に仕上がり、お菓子はきめが細かく口溶けの良い仕上がりになります。また、気軽に米粉を使ってみたいという人には、米粉パンミックスがおすすめ。グルテンを含んでいるため、米粉100%ではありませんが、しっとりもちもちの米粉パンを短時間で作ることができる商品です。他にも用途に合わせた米粉を取り揃えているので、お気軽にスタッフにお問い合わせください。
近年、米粉の人気に変化はありましたでしょうか?
小麦粉のアレルギーを持っている方でも、米粉を使えばパンやパンケーキ、ケーキが食べられると手作りされる方が多くなってきたように思います。SNSでレシピを公開した時の反応からも、盛り上がってきていると感じます。
実際、弊社でも2018年以降力を入れている商品のひとつで、レシピの発信も積極的にしてきました。今では、「米粉」「グルテンフリー」がテーマのレシピはホームページに500以上あります。同時に、近年は米粉自体のクオリティーが上がってきているのを感じます。パン用、製菓用と用途別の商品があり、プロでなくても、上手に米粉のパンやケーキが焼けるようになりました。
最後にお客様へのメッセージをお願いします。
米粉を使ったパンやケーキは“膨らみにくい”という特性もあり、難しくハードルが高いと思われがちです。しかし、『富澤商店』なら、失敗しにくいパン専用、製菓専用の米粉を取り揃えているので、ぜひ一度使ってみてほしいです。小麦粉のように捏ねる作業に時間をかけなくてもパンを短時間で焼くことができますよ。そして、焼きたてのもちもち食感をぜひ自分で作って楽しんでほしいですね。