原料に関して
米粉(こめこ)とは、お米を細かく砕いて作られる粉状の食品です。国内で生産されている米粉の多くは、うるち米、もち米といった精白米を原料としています。
ほかにも、玄米から製粉した玄米粉があります。
古くは奈良時代から、米菓や和菓子などで米の粉としての利用はなされてきましたが、近年はパン、ケーキ、麺類などへの用途が広がっています。
小麦粉等の代替できる米粉の利用を増やすことで、国産米の消費量が伸び、食料自給率アップや米を生産する水田を守ることにもつながります。
小麦粉との違いに関して
小麦粉と同じように料理に使える米粉ですが、小麦粉との最も大きな違いはグルテンを含んでいないことです。グルテンは、小麦粉に含まれるタンパク質で、グリアジンとグルテニンが水分と結びついて生成され、パンや麺づくりで、粘り、弾力、コシを生む成分です。グルテンは麩質とも呼ばれ、麩の主原料にもなっています。
小麦に含まれるタンパク質は食物アレルギーの原因となることが知られていますが、特にグルテンについては、セリアック病やグルテン不耐症などの疾病が知られており、こうした疾病を持つ人のための食事としてグルテンフリーの食事が生まれましたが、米粉はグルテンフリーの食材としても近年注目されています。
調理に関して
米粉は小麦粉等他の穀物の粉に代わって、お菓子やパン、麺など様々な料理に使用できる食材です。
米粉は、シチューやカレーなどの料理でとろみづけに使うことができますが、糊化温度が高いため、ダマになりにくく、粉をふるう必要もありません。米粉は水に溶けやすく、グルテンを含まないことから粘りが少ないため、調理道具の後片付けも楽です。
ヘルシー感に関して
米粉は小麦粉と比べて油の吸収率が低いことが特徴です。唐揚げや天ぷらなどの揚げ物がヘルシーで軽い仕上がりになります。鶏のもも肉を揚げたときの衣の油の吸収率は、米粉 21%、小麦粉 38%と報告されています * 。
また、お米には食事からの摂取が必要とされる必須アミノ酸が比較的バランスよく含まれています。タンパク質や炭水化物の量は、小麦粉と大きな差はありませんが、アミノ酸スコアが高くなっています。
*出典:「Oil Uptake Properties of Fried Batters from Rice Flour」F.Shin and K.Daigle (J.Agric. Food Chem.47(1999))
食感に関して
米粉には水分を吸収しやすい性質があり、お米特有の粘り気もあります。そのため、米粉を使ったパンや麺は、しっとり・もっちりとした食感になります。一方で、天ぷらや唐揚げなどに米粉を使うとカリッと揚がり、サクサクとした歯ざわりがよく、その食感は、料理が冷めても長続きします。
製菓でも独自の食感を引き出します。米粉のクッキーは、サクサクとした食感だったり、ホロホロとした食感が特徴です。プリンやゼリー、カスタードクリームに加えるとなめらかさを増してプルっとした食感が楽しめます。また、スープなどの汁物に溶かすと、とろみがついて飲み込みやすくなるので、離乳食や介護食にも使われています。
まとめ
このように、どんな料理にも使えて、いろいろな食感を引き出す米粉。各種調理用の米粉が市販され、家庭で作れる様々な米粉レシピが紹介されています。特に、近年は加工用技術の進化により微細な「新用途米粉」が開発され、パン、麺、ケーキなどの材料として米粉が使いやすくなりました。グルテンフリーの米粉商品のバリエーションも増え、米粉の用途と楽しみ方がどんどん広がっています。