はじめに、前回の店舗フェアの感想から伺えますでしょうか。
「前回は『白醤油のプリン 米粉のシュトロイゼルを添えて』、『大吟醸のソルベと米粉のメレンゲのヴァシュラン』の2品を提供しましたが、米粉と白醤油や大吟醸との組み合わせが珍しいと大変好評で、定番として出してほしいというご要望までいただいたんですよ」。
今回も新たに2品考案いただきました。まず「米粉のガレットブルトーニュ 焼き味噌仕立て」について教えてください。
「ガレットブルトーニュとは、いわば厚焼きのクッキーのこと。小麦粉を米粉に変え、バターと卵黄などと合わせて焼き上げました。焼いてから粒が荒めの味噌を表面に塗ってバーナーで炙り、その上に大徳寺納豆を載せて焼き味噌仕立てにしています。日本素材とフランス菓子の融合という当店のテーマを表現するとともに、発酵食品×お米という日本食における王道の組み合わせを、ひとつのお菓子に落とし込みました」。
米粉を使ったことによって、一般的なガレットブルトーニュとはどんな違いが出ましたか?
「小麦粉を使用するよりも、ホロホロっとした食感になりましたね。口溶けもいいので、食べていただくとお味噌のしょっぱさがじんわりと口のなかに広がるのを感じていただけるかと。バターの香りもしますが、粉を米粉にしているぶん、よりお味噌と大徳寺納豆の風味と馴染みいい仕上がりになったと思います」。
「Dessert&Wine 西洋茶屋 山本」では、デセールをお酒とのペアリングコースで提供されていますが、こちらはどのタイミングで出されるのでしょうか。
「最初の小菓子としてお出ししています。口の中が甘くなりすぎないように、コースの初めは塩味のあるものと決めているんですよ」。
2品目は「米粉のマカロン ジャパニーズウイスキーのガナッシュサンド」ですね。
「マカロンにはいろんな配合があるんですが、当店でお出ししているのは軽めのフレンチメレンゲ。今回はアーモンドプードルの代わりに米粉を入れて作りました。最後のお茶菓子として提供するんですが、サクッと甘いマカロンのコック(生地)と、ウイスキーの香りがいいお口直しになるかと思います」。
米粉を採用したことによって、どんなマカロンに仕上がりましたか?
「マカロンのコックはねちっとした食感になりやすいんですが、米粉を使うことで、繊細で口溶けがよくなりました。アーモンドプードルよりも粒子が細かい米粉を使用したことによる作用なのではないかと」。
ガナッシュのこだわりについてもお聞かせください。
「ガナッシュには、香りのいいオールドウイスキーを使っています。マカロンのコックに米粉を使ったことにより淡白な味わいになっているので、ガナッシュやウイスキーの香りを引きたててくれています。食べ終わったあとも、ウイスキーの心地いい余韻を楽しんでいただけるのではないでしょうか」。
マカロンのコックの色味が、パールのような白色で美しいですね。
「綺麗ですよね。この白色は米粉の色味なんですよ。アーモンドプードルで作ると米粉よりも火が入りやすく、もう少し茶色く焼けるんです。米粉は焼いたときに焼き色がつきにくい印象です」。
双方、食器にもこだわりがあるとか。
「日本の伝統工芸や海外の作家さんとコラボした焼き物など、器にもこだわっています。米粉のガレットブルトーニュは香川漆器、米粉のマカロンを載せた器は京都の作家もの。コースの構成やできたてを提供するライブ感はもちろんですが、そうしたビジュアルも一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです」。