第3回目の店舗フェアでは、「米粉のれんこん餅 毛蟹とハーブのソース」をつくっていただきました。こちらはどんなお料理なのでしょうか。
「れんこん餅は剃ったれんこんに米粉と塩を合わせて練り、米粉をまぶして揚げています。れんこんを荒めに剃ることで、米粉によるもちもち感にシャキっと軽やかな食感が加わりました」
お餅と衣に米粉を使っていますが、それぞれ米粉のどんな特徴が感じられますか?
「一般的にれんこん餅は片栗粉を使うメニューなんですが、米粉でつくってみると片栗粉のような粘り気がなく、いっそうもちもちな食感に仕上がりましたね。衣のサクッと香ばしい風味も、米粉によるものだと思います。あとは、なんと言っても軽さでしょうね。お餅ではありますが、思いのほか食べ応えが軽いのも米粉らしさが出ている部分です」
ソースについても教えてください。
「貝で摂った出汁に、バターとタイムというハーブを合わせています。貝とバターのコクや旨味に、タイムの清涼感を加えてバランスを取りました。そして最後に、香り付けのエキストラバージンオリーブオイルを」
れんこん餅の周りにあるのは?
「季節感を出すために、茹でた毛蟹と旬野菜の百合根を添えました。周りの葉物はハーブです」。
そもそもなぜ、米粉を使ったれんこん餅を発想されたのでしょうか?
「僕らはユニークな組み合わせの料理をつくることもあるんですが、コースの2割くらいは一般的に知られている料理をベースにした料理をお出しするようにしているんです。なので一般的に知られている冬の料理として、れんこん餅をつくってみました」
なぜそのような料理を出そうと?
「『No Code』は落ち着いてちゃんとおいしいものを食べていただく場所なので、尖った料理を楽しんでいただくのではなく、“知っているけど新しい”というような楽しさを提供したいという考えがあるんです」。
このれんこん餅は、まさに『No Code』らしい一皿なんですね。
「そうですね。もちろん、クリエイティブな料理もすごくおもしろいと思います。いいか悪いかということではなく、知っている料理がちょっと斬新なアレンジで出てきたら、お客さまに楽しんでいただけるんじゃないかと」。
これまでに店舗フェアのメニューや家庭でつくれる米粉料理のレシピづくりなど、さまざまに活躍いただきました。そのなかで改めて気がついた米粉の魅力はどんなところですか?
「もともとフリットをつくるときは米粉を使用していましたが、生地やつなぎ、とろみ出しにもいいなと実感しました。そして家庭用レシピでカレーを作ったときに感じたんですが、仕上がりが重たくならないというのは米粉を使う大きな利点ですね。いままではほぼ揚げものにしか使っていませんでしたが、これからはカレーソースなどのベースになるものに使うのもありなんじゃないかと思っています」。
最後に、米粉アンバサダーの活動を振り返ってみて、いかがですか?
「米粉のもとであるお米は日本の国民食ですし、米粉をより使ってもらえる可能性を探るというよりは『これは米粉じゃないといけない』という必然性につながっていけばいいなと思います。くわえて米粉に限らず、国産食材の使用量を増やしていく努力も必要だと感じましたね。僕自身も食材や国産食材の供給などについてもっと学ばなければいけないと思いましたし、米粉やそのほかの国産食材をより使っていけたらという気持ちになりました。僕らの活動を通して、みなさんにも何か感じていただくものがあったなら嬉しいです」。