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米粉アンバサダーとしてレシピや店舗メニューを開発いただいていますが、実際に米粉を使って料理をしながら感じたメリットがありましたら、教えてください。

「米粉は粒子がサラサラしているので振るう必要がありませんし、なによりダマになりづらいのがありがたいです。普段粉ものと水分を合わせるときは、量を調整して少しずつ加えたり、泡立て器とゴムベラを駆使してダマや不均一性を回避しますが、米粉は粉と水分の比率を気にしなくて良いし、泡立て器だけできれいに混ざります。そうした作業効率の高さは、ほかの粉にはない魅力ではないでしょうか」。

家庭で使うことを考えると時短にもなりますね。

「それにくわえて、洗いものが少なくて済むんですよ! 地味なことですが、米粉は粘り気が出るグルテンを含まないので、乾燥してボウルにこびりついたとしても水でさらっと落ちるんです。小麦粉はお湯に浸けておかないと綺麗に洗うのが大変なんですが、米粉はそのひと手間が省けるのがすごく大きい。手に米粉がついても水で流せばすぐに落ちるので、数品を同時に作るときは助かるんですよね」。

この活動を通して、米粉の魅力を広めていくために必要だと感じたことは?

「店舗で米粉を使用したメニューをお出ししたところ、お客さまから『言われるまで米粉だと気づかなかった』、『癖がなくて食べやすい』、『お米が原料だと、健康面を考えたときにも安心できる』といったポジティブな声が多かった反面、どこで購入できるか分からないという質問をいただくことも多かったんです。なので実際に手に取っていただくためにも、どこで購入できるかというところまでフォローしていけたらと感じました」。

スーパーなど、比較的身近なお店に置いてあることも知っていただく必要がありそうです。

「ご家庭で使う粉といえば小麦粉や片栗粉ですが、そこに米粉という選択肢が加わるためには、より身近に感じてもらえるようなアプローチも必要で。一番注目しているのは給食ですね。給食は自国の食文化や食材の多様性を落とし込むには最適な食育コンテンツです。全国の給食に取り入れることで消費量も上がり、わざわざ選ぶ食材でなく、当たり前にそこにある食材になると思います。例えば米粉を使いやすい家庭料理といえば唐揚げが挙げられますが、現状一般的な唐揚げのレシピは、小麦粉や片栗粉を使うものが主流じゃないですか。レシピというものはみなさんのご家庭にある食材をベースに考えられているので、『米粉の唐揚げ』も当たり前になるくらい、認知度が上がればいいですね」。

あえて米粉を選んでもらうための理由としては、どんなことが挙げられますか?

「先ほどお話した作業性のよさと、グルテンフリーというのも一つありますよね。ほかの粉よりも食べられる人が多いので、小麦粉などの代替としてもすごくいいと思うんです。くわえてこのプロジェクトが、将来的な日本の米産業に貢献したいから米粉を選ぶというような、長期的な目線を持っていただくきっかけにもなれば嬉しいですね」。

チランシェフが思う、食材としての米粉の魅力についてもお聞かせください。

「もっちり、ザクザクなど、食感における表現の幅が広いのはやはり魅力ですね。あとは揚げものに使ったときに、油切れがよく時間を置いてもベタつきにくいのも利点で、飲食店だけでなくお弁当を作るご家庭の強い味方です。こうしたよさも含めて米粉にはいいところがたくさんあるんですが、まだまだ使うハードルが高いという偏見が払拭できていないという印象です」。

最後に今後の活動に向けた、意気込みをお願いします。

「私たちのレシピや店舗でお出しするメニューを食べていただいて、米粉の使いやすさやおいしさを広めていけたらと思います。また長期的には給食事業にも携わり、米粉を取り入れたメニュー開発などもやりたいですね。それによって、原料であるお米を作っている農家さんの認知度も上がってほしいですし。そのハブになれることが飲食店の存在価値だと思うので、引き続き力を入れて活動していきたいと思います」。

ドグエン チラン 氏

ベトナム人の両親を持つ移民二世。東京生まれ東京育ち。高校在学時に白金台ステラートでアルバイトしたことがきっかけで料理人を志す。カフェトロワグロやビストロシバラクなど、都内ビストロにてフレンチに携わる。アートやデザイン、ナチュラルワインがインスピレーションの源。趣味は国内外の生産者訪問。育児と料理人の仕事を両立するため、また生産者に近い地を求めて2019年に広島へ移住。2020年9月「CHILAN」オープン。2021年 ゴ・エ・ミヨ掲載。2021年 料理人コンペティションRED U-35にてファイナリスト選出。岸朝子賞受賞。

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