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グルテンフリーの米粉スイーツなら、多様化する嗜好に対応ができる

22歳で渡仏し、パリのル・コルドン・ブルー、ベルエ・コンセイユなどで修行をしているときに感じていたのは、「米粉のスイーツが求められている」ということ。グルテンフリーの食事を求めている健康志向の方、アレルギーで小麦粉が食べられない方も「美味しいスイーツが食べたい」という気持ちを持っています。それに応えられるのが米粉でつくったスイーツ。当時から試作を繰り返していました。

思いはパリから、大阪へ

思いはパリから、大阪へ

パリでは米粉は貴重品。入手しづらいし、とても高価です。それもあって、バイトの身分の自分では満足に試作を重ねることはできませんでした。帰国して「Kent house plus」の2代目シェフに就任し、2022年に独立して「Masahiko Ozumi Paris」を開店させるまでは、怒濤の日々でした。そんな中でも、頭の片隅にはいつも「米粉のスイーツをつくりたい」という思いがありました。

多忙な日々。その中でもあきらめなかった挑戦

だから、率先してキッチンに立ち、パティシエたちとともにスイーツをつくる日々ですが、少しでも時間を見つけては米粉スイーツに挑戦を続けていました。10年近く米粉スイーツのことを考えていたことになりますね。

米粉スイーツ実現を阻んだ、大きな壁とは

日本では米粉がスーパーでも手に入ります。それを使ってMasahiko Ozumi Parisのスイーツと同じ見た目のものはつくれました。ただ、ざらっとした舌触りの食感が気になります。そして、味がダメ。これではMasahiko Ozumi Parisの商品としては売れません。
いろんな米粉を試したり、たとえば米粉にタピオカやコンスターチをミックスしたり、白砂糖やココナツシュガーを使って甘みを工夫したりと試行錯誤もしました。でもそうやってこだわり始めると、コストが上がって価格も高くなります。それではたくさんのお客様に届けることができない。そんな大きな壁に阻まれていたのです。

「たくさんの人に喜ばれる、米粉スイーツをつくりたい」

その壁を壊すきっかけとなったのが、日の本穀粉の米粉との出会いでした。米粉スイーツ実現への苦労話を話すと、スイーツに最適な米粉を紹介してくれたのです。
その米粉を見て驚きました。きめが細かく、まるで小麦粉と同じ手触りだったのです。「これなら大きな課題、食感はクリアできそうだ」という確信がありました。

小麦粉とまるで同じ、かつてないきめ細やかさを持つ米粉

実際にスイーツに使うと、小麦粉と同じレシピでつくることができました。特別になにかを加えたり、変更したりということは必要ありません。つまり、お店で出しているものと同じクオリティの味が実現できたのです。それでいて、サブレなど焼菓子は米粉のやさしい口当たりに。食感はサクサク、口に入るとほろっとほどけるのです。小麦粉は焼くとどうしても固くなり、このやさしさの表現が難しいのです。

小麦粉とまるで同じ、かつてないきめ細やかさを持つ米粉

「小麦粉と同じ」ではなく「米粉だから」のおいしさ

そうして生まれたのが「バトンサブレ」(700円・税込/8本入)。本店の店頭、お客様の目に最初に入る場所に、5種類を並べています。塩バニラ、レモンライム、抹茶、フレーズ(いちご)、ショコラ。中でも自信作は、レモンライム。軽やかな甘みに加え、爽やかな柑橘の香りと酸味が楽しめる、ちょっとオトナなサブレです。「バトンサブレ」は私がこれまでつくってきた中でも最高の焼菓子だと自負しています。

米粉×スイーツ。その可能性は無限大に広がる

2023年12月の発売以来、バトンサブレは本店と2023年10月にオープンした阪急うめだ本店の2号店で、飛ぶように売れています。キッチンでは1日に300個近くをつくってギリギリ間に合うといった感じ。「こういう軽いスイーツが食べたかった」「小麦粉アレルギーだけれど、これなら甘いものを楽しめる」とお喜びの声もいただけ、つくってよかったと思っています。昨年のハロウィーンシーズンには限定で、米粉でつくった「Zabuton モンブラン」も発売しました。パンプキンのZabutonがかわいいモンブランで、こちらも好評でした。

次の目標はこれまでの自分を超える「新しい代表作」

次の目標はこれまでの自分を超える「新しい代表作」

ずっと実現したかった「米粉のスイーツ」をやっと完成させられた、と私もとてもうれしいです。この成功を踏まえ、もっとたくさんの新作を米粉でつくりたいと思っています。「Masahiko Ozumi ParisといえばZabuton モンブラン」思われている方も多いと思います。オーナーシェフとしては、それを超える新たな代表作をつくりたい、そうしてMasahiko Ozumi Parisをもっと成長させたいという思いがあります。それを叶える力になってくれるのが米粉だと感じています。

スイーツの未来を思うと、米粉に大きな可能性を感じる

ヨーロッパや海外で流行したものが、しばらくして日本に輸入されて大々的に流行するという傾向があります。その中で日本独自の進化も遂げます。そういう意味では、これからグルテンフリーのスイーツは必ず注目を集めて人気になり、たくさんの米粉スイーツが生まれるのでは、と思っています。それが「米粉に大きな可能性を感じる」理由の1つです。

高い品質の日本の米粉なら、ほんとうに美味しいスイーツがつくれます。将来、もしかすると私がつくるスイーツは、すべて米粉のものだけになるかもしれません。そうして次々と新たな代表作をつくり、いつかは修行したパリにお店を出したいですね。その意味でも「米粉に大きな可能性を感じている」のです。

株式会社Masahiko Ozumi Paris

株式会社Masahiko Ozumi Paris

2022年、「Masahiko Ozumi Paris」は大阪の天満橋にオープンするとすぐ、日本のみならず海外からのファンも殺到する行列の絶えない人気店に急成長。3D CADを使ってデザインするという唯一無二の美しいスイーツたちの中でも、まるで毛糸で編んだような「Zabuton モンブラン」はその代表作。2023年には2号店もオープンし、いま大阪でもっとも勢いのあるパティスリーのひとつとなっている。

大阪府大阪市中央区大手通2-4-8 assess 大手通ビル1F
https://masahiko-ozumi.com/

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