もっと自由に柔軟に、おいしいタルトをつくるため
恵比寿にタルト専門店をオープンしたのは2020年。よりおいしいタルトをつくりたくてチャレンジしました。一つひとつに納得のいくまで手をかけて商品づくりをしています。
生地から手づくりがコンセプト
おいしいタルトを目指して生地からこだわって手づくりするのが、AM STRAM GRAMのコンセプトです。毎朝、その日のメニューに応じてタルト生地を自分たちで焼いています。そのコンセプトは、2023年11月にオープンした虎ノ門ヒルズステーションタワー店(以下、虎ノ門店)でも踏襲しています。
タルト専門店として看板を出す以上、タルト生地にもバリエーションを持たせたい。そのために小麦粉とは異なる材料を使うことを以前から検討していました。「いい米粉がある」と知り合いから紹介を受けたのが、米粉を使い始めたきっかけです。
虎ノ門店は米粉にフォーカス
その米粉は、新潟県で農薬も肥料も使わない米づくりをする宮尾農園の自然栽培米でした。その米粉を使ってタルト生地を焼いてみると、レシピによってパリパリ・カリカリとしたせんべいにも似た食感に。米粉の食感の多様性に驚きました。
恵比寿店で米粉のタルト生地は新しいカテゴリとして非常に喜ばれました。虎ノ門店はより米粉にフォーカスしています。恵比寿店で焼いたものを虎ノ門店のショーケースに並べることもできますが、あえて虎ノ門店に厨房設備を入れたのもそのため。タルト生地を自分たちが焼くことで、フレキシブルな商品開発ができます。
米粉の食感と風味を生かした新作、虎ノ門店から発信
虎ノ門店で新たに手掛けたのは、「新潟宮尾農園のおこめ粉使用 イチゴ大福のタルト」、同じく「みたらし芋と胡麻のタルト」「米粉のアーモンドボール」も開発しました。レシピによって完成したときの食感や風味が変わるのが驚きです。
生地のパリ・カリ食感がおもしろい
「イチゴ大福のタルト」は、米粉のタルト生地に、粒あんを敷いて求肥とカスタードクリームを重ねてたっぷりのイチゴを載せました。パリパリ・カリカリに焼き上がった米粉の生地は、同じく米粉からつくられた求肥のモチモチ感との対比がおもしろい。「みたらし芋と胡麻のタルト」では、米粉生地に黒ごまを練り込んで香ばしく焼き上げています。
小麦粉のタルト生地の食感はサクサクですが、米粉はそれとはまた違ったパリ・カリ食感が新鮮です。今後、大福タルトシリーズとして、イチゴに続いてブルーベリーやブドウなどを米粉のタルト生地で出していこうと考えています。
消えてなくなるアーモンドボール
焼菓子では、「米粉のアーモンドボール」をつくりました。フランス菓子として広く販売されている商品ですが、その多くで使用されている小麦粉を米粉に代えてつくっています。その食感がすごく繊細で、口の中ですっと消えていき、粉雪のようだと表現するお客様もいらっしゃいます。
「米粉のアーモンドボール」はとても人気で、このシリーズでもメニューを広げたいと考え、ほうじ茶や酒粕など和のフレーバーを開発中です。
グルテンフリーとしても愛されるタルト
米粉のおもしろさは食感の多様性。グルテンフリーの観点でも可能性を感じています。
試行錯誤で新たな発見
虎ノ門店をオープンして、グルテンフリーのクリスマスケーキの特注をいただきました。タルト生地は米粉。カスタードクリームも本来は小麦粉を使いますが、米粉に代えてつくりました。小麦粉に慣れているので、米粉の扱いは生地の練り方や焼く温度にしても試行錯誤はありましたが、それが新しい技術や知見になります。
特にカスタードクリームを炊くときに、米粉がすごく相性が良いことは新しい発見でした。小麦粉と遜色がないというか、むしろ軽いけれどコクがあって、すごくおいしいカスタードクリームができました。
お客様に商品を選ぶ楽しさを
AM STRAM GRAMは、フランス語版の「どれにしようかな」の数え歌。お客様の商品選びの相談にのりながら対面販売する接客スタイルが虎ノ門店にも踏襲されています。そこで必ず「米粉を使っています」とお伝えしていますが、その時のお客様の反応が、店舗や商品の開発にもつながっています。
米粉を使った商品の反応はとても良いです。特にグルテンフリーも含めた反応は恵比寿店以上です。皆さんが言うのは「小麦粉よりも胃にやさしい」「軽い」など。「日本人に合っている」と言う方もいます。米粉を使ったタルトにしても、アーモンドボールにしても、二度、三度、お求めいただくケースが徐々にですが増えてきています。
新しい発見に満ちた、米粉へのチャレンジ
虎ノ門ヒルズは外資系企業も多く、駅直結の立地で多様な人が行き交います。ここでタルトを焼くことでお客様にアプローチし、私たちの接客スタイルによっていろいろな声を聞くことができます。
米粉の情報が集まるステーション
私たちにとって虎ノ門店は米粉商品の開発基地です。グルテンフリー対応の商品を充実させるという位置づけでも、米粉は挑戦しがいのあると思っています。
米粉の情報も集まるようになってきました。新潟の宮尾農園さんから、知り合いに希少な黒米の米粉をつくっている生産者がいると聞き、それも使ってみたいと思っています。知人の紹介で縁あって使い始めた米粉ですが、今後は流通しているオーソドックスな米粉でもいろいろなチャレンジをしていきたいですね。 そこからまた新しい発見ができることを私たちも楽しみにしています。
AM STRAM GRAM
よりおいしいタルトを目指して生地にもこだわったタルト専門店。その日のメニューに合わせて毎朝生地を焼き上げ、旬の果物や選りすぐりの材料を使った手づくりのタルトはバリエーションも豊富。2020年12月に代官山にオープンした恵比寿店に続き、2号店を23年11月に虎ノ門ヒルズステーションタワーにオープン。米粉生地のタルトやアーモンドボールが注目を集めています。
恵比寿店:東京都渋谷区恵比寿西1-16-8
虎ノ門ヒルズステーションタワー店:東京都港区虎ノ門2-6-3 B2F
https://am-stram-gram.jp