米粉パンについて
小麦粉は、小麦を製粉して作られています。小麦粉に含まれるグルテンと呼ばれるタンパク質は、水と一緒にこねることで弾力や粘り気をもたらします。グルテンの性質を活用してさまざまな食品に用いられる小麦粉ですが、よくこねられたグルテンには空気の膨張に対応して伸縮する特性があるので、ケーキやパンのように大きく膨らませる料理に適しています。
一方で、米粉は、もち米やうるち米などのお米を細かく砕いて作られたもので、粒子が細かくさらっとしています。従来、米粉は上新粉や白玉粉など一般的に和菓子の材料に使われてきましたが、製粉技術の進歩によって細かい米粉が作れるようになりました。
近年よく見られるようにパンや麺類、洋菓子など多くの用途で使われています。米粉は、水に溶けやすくダマになりにくいので、製菓やパン作りに適しています。パンはもちっとした食感と、ずっしりとした食べ応えがあるのが特徴です。小麦粉で作るパンと違い、一次発酵だけでできます。ベンチタイムやニ次発酵がないので、思ったより簡単にできあがりますよ。
米粉パンに使う米粉の種類について
米粉には様々な種類があり、パンを作る際は製パン用の米粉を使うことをおすすめします。小麦粉にも、薄力粉、中力粉、強力粉と大きく分けただけでも3種類あり、小麦の種類によっても特徴があるように、米粉にも、様々な種類があり、適した料理に使うことで仕上がりも変わってきます。米粉のお菓子やパンをつくってみたけれどうまくいかなかった、思った仕上がりと違ったという声を耳にしますが、作りたいものによって米粉を変えてみるとうまくいったりします。現在は、品種改良や製粉技術の向上により、さまざまな種類の米粉が開発されていますので、製菓用、パン用、麺用など適材適所の米粉を選ぶことが重要になってきます。
製パン用の米粉でおすすめなのが、『ミズホチカラ』という種類のお米からできた米粉です。米粉づくりのために開発された熊本県産のお米の品種。従来の米粉よりも粒子が細かく、デンプンの損傷が少ないためよく膨らみ、やわらかな食感を実現できます。米粉の澱粉損傷率が高いと、米粉が吸水しやすく米粉パン生地が重くなり、膨らみにくくなります。パンにありがちな膨らまない、固くなるなどの失敗を回避することができます。
米粉をグルテンフリーの観点から使用したいという方は、米粉にグルテンが添加されたものもありますので、注意が必要です。表示を確認の上、選んでくださいね。
最近では、サンプル検査によりグルテン含有 が1ppm以下であること、製造工場に おける当該製品の安定した生産、検査、出荷体制を確認した米粉にノングルテン認証マークというのが付与されています。(登録認証機関:日本農林規格認証アライアンス(JASCERT))
米粉パンの基本の作り方
材料
<A>
作り方
- ボウルにAを入れて、さっとかき混ぜる。
*泡立て器でぐるっと全体が混ざるまでかき混ぜます。 - ぬるま湯を加えて、しっかりと混ぜる。
*38~40℃くらいの温度にしてください。 - サラダ油を加えて、さらによく混ぜる。
*混ぜ方が足りないと分離してしまいますので、100回くらい混ぜます。 - サイリウムを加えて手早く、全体がひとまとまりになるまで混ぜる。
*サイリウムを加えるとどんどん生地がまとまってくるので、ゴムベラに持ち替えて手早く混ぜます。 - 6等分して丸め、天板に並べる。
*丸める際、手について作業しにくい場合は分量外の打ち粉またはサラダ油を手につけて作業してください。 - サラダ油(分量外)を刷毛で塗り、乾燥しないようラップを被せる。1.5倍くらいの大きさになるまで発酵させる。
*発酵時間は室温でも左右されますので、こまめに確認してください。 - 上から米粉(分量外)をふり、ナイフで切り目を入れる。
- 180℃に予熱したオーブンで20分焼く
ポイント
米粉パンは捏ねなくてもいいので気軽に作ることができますが、分離しやすいので、水や油を加えた後はしっかりと混ぜてください。サイリウムを加えるとすぐに固まりだすので、すばやく混ぜてください。サイリウムが無い場合はお手持ちの型にオーブンペーパーを敷いて、流し入れ、そのまま焼くこともできます。乾燥すると膨らみにくく、固くなってしまうので、発酵させる際はラップをかけて乾燥を防いでください。
米粉パンの保存方法
焼き上がった米粉パンをそのまま放置しておくと乾燥してパサパサしてしまいます。
焼き上がったら少し温かいうちにラップで包んで冷まします。冷めたら保存袋やタッパーなどにいれて乾燥を防ぎましょう。焼き上がった当日は常温で保存可能ですが、翌日以降食べる場合は冷凍保存がおすすめです。ご飯も冷めると固くなるのと同様に米粉製品も冷めるとだんだん固くなる性質を持っています。
米粉パンの温め方
パンはトースターで焼き直し(リベイク)するのが一般的ですが、米粉パンの場合は電子レンジであたためるのがおすすめです。余分な水分が出ることなく、ふんわりもっちり食べられます。
食パンのように、トーストして食べたいものは、一度電子レンジであたためてから軽くトーストすると中はもっちり、外はカリッとした食感になりますよ。
米粉パンのまとめ
米粉と米粉パンについて紹介してきましたがいかがだったでしょうか。米粉のパンは小麦粉で作るパンに比べて膨らみにくいなどのイメージを持っている方もいるかと思いますが、使用する米粉さえしっかり選べば、膨らみにくい、硬くなりやすいという米粉パンの弱点を解決してくれます。何より、捏ねなくていいこと、一次発酵だけでいいことはかなり時間も短縮できますし、思い立ったらすぐに作ることができます。バリエーションも豊富なので、色々と作ってみるのも楽しいですね。是非お試しいただければと思います。