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米粉と小麦粉は置き換えできる?パウンドケーキとスポンジケーキ、カヌレで徹底比較

米粉と小麦粉は置き換えできる?パウンドケーキとスポンジケーキ、カヌレで徹底比較

お菓子作りをしていると、「小麦粉を米粉で代用できるかな?」と思ったことがある方もいるでしょう。本記事では、同量の米粉と小麦粉を使用して、実際にパウンドケーキ、スポンジケーキ、カヌレを作り、それぞれを比較してみました。見た目や食感、味の違いなどを詳しく検証したので、その結果を紹介します。

小麦粉のタンパク質含有量や米粉の吸水率によっても、仕上がりには多少の違いが生じます。今回小麦粉(薄力粉)と米粉はミズホチカラ(製菓用)を使用しました。

米粉と小麦粉の違いについて

米粉と小麦粉の違いについて

左が米粉、右が小麦粉です。米粉は粒子が細かく真っ白で、同じ分量でも小麦粉に比べてかさが増し、見た目にも大きな違いがあります。ここでは、その違いを3つのポイントに分けて紹介します。

グルテンの有無

米粉と小麦粉の一番の違いはグルテンの存在です。小麦粉にはたんぱく質の一種であるグルテンが含まれています。生地をつなぎ合わせる効果があり、生地に粘りや弾力を与えてくれるお菓子作りには重要な存在です。

一方、米粉にはグルテンが含まれていないため、小麦粉とは異なる仕上がりになります。小麦アレルギーの方でも食べられることから、近年、お菓子作りでも人気の食材です。

吸水率と吸油率

米粉は小麦粉よりも吸油率が低く、吸水率が高いのが特徴です。油の吸収を抑えてカロリー控えめのヘルシーな仕上がりになるため、揚げ物を作る際には米粉がおすすめです。

また、小麦粉に比べると水をよく吸うため、同量の米粉で代用するとまったく違う食感になります。米粉の種類によって吸水率が異なるため、お菓子作りに使用する場合は吸水率の低い米粉を選ぶといいでしょう。

食感と風味

米粉は名前の通り、お米から作られているため、お米本来のやさしい風味が感じられます。対して小麦粉は小麦の香ばしい香りが特徴です。

食感も異なり、米粉はもっちり・しっとりとした食感に仕上がるため蒸しパンやパンケーキなどに適しています。クッキーの場合は、吸水率が高いためホロホロとした食感が楽しめるでしょう。

パウンドケーキで比較

パウンドケーキで比較
(左:米粉のパウンドケーキ、右:小麦粉のパウンドケーキ)

生地の状態

生地の状態

米粉の方は生地をすくい上げるとポタっと落ち、少しマットな仕上がりでした。小麦粉の生地はすくってもなかなか落ちず、もったりと粘りがある状態です。米粉と比べるとツヤがあるのが分かります。

焼き上がりの状態

焼き上がりの状態

米粉に比べて小麦粉で作った生地の方が、グルテンの効果もあってより膨らんでいました。焼き色は変わりません。

断面の状態

断面の状態

型から出すと高さの違いが分かりやすいです。全体的な気泡は米粉の方が少しだけきめ細やかで、小麦粉の方が上に大きく膨らんでいます。フォルムも米粉の方が丸みを帯びていました。

食感や味わい

食感や味わい

米粉のパウンドケーキはしっとりしつつも、サクッと歯切れのよい食感です。軽い食感で食べやすく、お米本来の独特な甘みが楽しめます。一方、小麦粉で作ったパウンドケーキはグルテンの影響で膨らみが強く、やわらかい食感で小麦や卵の風味がより感じられました。

言われなければ気づかないくらい、どちらもおいしいパウンドケーキ!しかし、時間が経過すると小麦粉よりも米粉の方がパサついたり、固くなるのが早いので食べる際に温め直すと良いです。

米粉を使う場合の注意点とポイント

グルテンが入っていないため、混ぜすぎの心配がありません。食感をよくするためにも、しっかりと混ぜ合わせましょう。
また、炊いたお米が固くなるように、お米のでんぷんは老化します。常温や冷蔵庫においておくとどんどんパサついて固くなるため、米粉のパウンドケーキは焼いたその日に食べるのがおすすめです。

スポンジケーキで比較

スポンジケーキで比較
(左:米粉のスポンジケーキ、右:小麦粉のスポンジケーキ)

生地の状態

生地の状態

米粉の生地はすくうとトロトロ流れ落ち、すくって落ちた生地の跡は数秒でスーと消えていきます。小麦粉の生地は跡がしばらく残りました。

焼き上がりの状態

焼き上がりの状態

米粉の方は焼き色が薄く、表面がツヤっとしていました。小麦粉の方は焼き色が濃く、膨らみの高さもあります。

断面の状態

断面の状態

見た目にあまり大きな違いはありませんが、米粉の方がややきめ細かい生地に仕上がっています。触ってみるとどちらもふんわりとしていますが、小麦粉の方は跳ね返すような弾力を強く感じました。

食感や味わい

食感や味わい

米粉のスポンジケーキはもっちりしつつも軽い口当たり。やさしい味わいで、クリームやフルーツともよく合います。

小麦粉の方は弾力があり、ふんわりとした食感。コクがあり味も濃く感じました。好みはありますが、食感や味わいなどから家族には米粉のスポンジケーキが好評でした。

米粉を使う場合の注意点とポイント

米粉のスポンジケーキは乾燥に弱いため、できるだけ当日に食べ切るようにしましょう。また、シロップをたっぷりと打って水分を含ませるのもおすすめです。事前に準備しておきたいという場合は、ラップに包んでからジッパー付き食品保存用袋に入れて冷凍保存しましょう。乾燥しやすいため冷蔵庫での保存はNGです。

カヌレで比較

カヌレで比較
(左:米粉のカヌレ、右:小麦粉のカヌレ)

生地の状態

生地の状態

米粉の生地はサッと牛乳に溶けて、サラっとしています。小麦粉の生地はふるったものでも、牛乳と合わせた際にダマになってしまいました。生地の見た目はどちらも変わりません。

補足すると、米粉の利点のひとつに粉ふるいが不要という点が挙げられます。サラサラとしていてダマになりにくいため、そのまま使用できます。

焼き上がりの状態

焼き上がりの状態

同じ条件になるよう、どちらもひと晩冷蔵庫で休ませた生地を焼きました。焼き色はほぼ同じですが、米粉に比べて小麦粉の方が若干縦に膨らんでいます。

ちなみに、小麦粉で作ったカヌレは、焼いたときに生地が爆発して飛び出してしまうため、必ずひと晩寝かせる必要があります。これはグルテンの影響によるものです。一方、米粉で作った生地はグルテンを含まないため、寝かせずにすぐ焼けるというメリットがあります。この記事では、条件をそろえるため、どちらの生地もひと晩冷蔵庫で休ませてから焼いています。

断面の状態

断面の状態

どちらもカヌレ特有の気泡ができています。米粉を使用したものは、色味がやや白っぽく、中もやわらかく仕上がりました。一方、小麦粉を使用したものは高さがあり、焼きたてでも外側は固めでした。

食感や味わい

食感や味わい

米粉のカヌレは外側もやわらかく、指で押すとつぶれます。中もなめらかでトロっとしていて、通常のカヌレとはまた少し違った味わいが楽しめます。一番違いが分かりやすいかもしれません。 翌日になると中の生地のやわらかさが落ち着き、しっとりした仕上がりになります。

小麦粉のカヌレは外側がガリっと固く、押してもあまりつぶれません。中の生地はもっちりとしていて香ばしい風味が楽しめます。翌日になると外側もやわらかくなりました。

米粉を使う場合の注意点とポイント

カヌレは水分量が多いので、米粉のお菓子にありがちなパサつきなどもおこりません。逆に水分が多いために、中が固まらずべちゃっとした仕上がりになることがあります。生地やオーブンの温度、米粉の種類などでも仕上がりが変わるので、レジピ通りの手順で同じ米粉を使うようにしましょう。

小麦粉を米粉で代用する際のポイント

代用時の分量と比率

レシピや米粉の種類によって、小麦粉の代用として使えるときと使えないときがあります。米粉は吸水率が高いため、元々水分量の少ないクッキーは特に注意が必要です。水分の量を多めにしたり、米粉の量を小麦粉の8割程度にしたりと調整しましょう。

吸水率の確かめ方としては、薄力粉と米粉を同量の水で溶いてみる方法があります。米粉がドロッと固まっているようなら吸水率の高い米粉なので、レシピよりも水分量を増やすなどの工夫をしましょう。

工程時のポイント

米粉はグルテンがないので粘りがでる心配がありません。混ぜすぎて生地が固くなることもないので、グルグルしっかりと混ぜてOKです。また、きめ細かくサラサラとしているため、粉ふるいが不要なのも嬉しいポイント。米粉の種類に注意して、レシピ通りに作ることを心掛けましょう。

注意点

米粉は購入した商品ごとに使い方が異なると言っても過言ではありません。吸水率が低めの米粉は、薄力粉の代用として使用可能です。吸水率の高い米粉だとまったく別の仕上がりになるため、使う米粉の種類には注意が必要です。

また粉類を米粉のみで作ったお菓子やパンは、性質上時間の経過とともに固くなるので、できるだけ早めに食べるか、温め直すようにしましょう。

素敵な米粉スイーツを楽しんで

米粉はグルテンを含んでいないため、小麦アレルギーをもつ方でも安心して食べられる食材です。元はお米なので小さいこどもも安心して食べられます。米粉で作ったお菓子は歯切れのよい軽さが特徴です。小麦粉で作るお菓子とはひと味違った味わいが楽しめるので、ぜひ試してみてください。

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