一覧へ戻る

米粉の種類を覚えておこう

米粉の種類を覚えておこう

日本では古くから和菓子の原料として使用されてきた米粉。最近ではグルテンフリー食材としても注目されています。ひと口に米粉と言っても、用途によって使う種類はさまざま。この記事では、覚えておきたい米粉の種類や、特徴、使い方などをご紹介します。米粉の種類を知ることで、料理やお菓子作りの幅が広がりますよ。

米粉の分類方法

主な米粉の種類 白玉粉 もち粉 上用粉 上新粉 新用途米粉(製菓・製パン用米粉)
原料 もち米 うるち米 うるち米 うるち米 もち米
用途 白玉団子、求肥など 最中種、羽二重もち、大福の皮など 上用饅頭、浮島など だんご、柏もち、ういろうなど 米粉パン、米粉ケーキ、米粉麺など
主な製法 水ひき製法 乾式製粉 胴搗き製法 ロール粉砕 気流粉砕
主な粒度 微細粒 細粒 微細粒 細粒 微細粒

主な米粉の種類と特徴

*うるち米

・上新粉

粘り気が少なく、歯切れの良い食感が特徴です。団子や柏もち、ういろうなどの和菓子に多く使用されています。粉砕工程でふるい分けを繰り返して粒度を調整することで、粉の品質が安定。使用する際は、お湯を加えて練り、蒸してから成型することで独特の歯ごたえが生まれます。

・上用粉

上新粉に比べて粒子がとても細かく、繊細でやわらかい食感に仕上がります。上用饅頭や浮島といった、くちどけの良い和菓子に向いた米粉。水分を加えると粘り気が出るので、成型しやすいのが特徴です。また粒子が細かいことでなめらかな生地を作れるので、見た目の美しさを表現しやすいのも魅力ですよ。

・新用途米粉(製菓・製パン用米粉)

料理、菓子、パン、麺などの従来になかった用途に活用できるように加工された米粉です。最先端技術によって微細粒化されていて、製菓用はしっとりなめらかな食感に、製パン用はふっくらもっちりとした食感に仕上がります。用途ごとに粒度や澱粉損傷度、アミロース含有量などが定められているので、用途に合った製品を選ぶことで失敗を防ぐことができますよ。

*もち米

もち米

・白玉粉

洗ったもち米を12時間ほど水に浸してしっかり吸水させた後、原料に対して1~2倍の水を加え、水と一緒にすりつぶす「水びき」という工程で作られます。製造過程が多いことから、ほかの和菓子用の米粉よりもやや値段が高めです。つるりとなめらかで、もちもちとした食感が特徴。冷めても硬くなりにくいことから、主に白玉団子や求肥作りに使用されています。水分吸収が良く、成型もしやすいですよ。

・もち粉

米の香りが強く残っていて、本物のもちに近い弾力と粘り気があるのが特徴です。もち粉は、洗ったもち米を乾燥してから粉砕したもの。水分や熱を加えることで、独特のもちもち食感が生まれます。冷めてもしっとりなめらかで、羽二重もちや最中種といった和菓子だけでなく、ロールケーキやドーナツ、モチコチキンなどでも使用されますよ。

*その他

・だんご粉

だんご粉

だんご粉は、原料にうるち米ともち米がブレンドされたもの。なかにはデンプンを加えた製品もあります。串だんごやみたらしだんごなど、水を加えてこね、成型してゆでるだけと簡単なので、初心者でも扱いやすい製品です。うるち米ともち米の特徴を兼ね備えているので、もちもち感と歯切れの良さのどちらも楽しめるのが魅力ですよ。

・玄米粉

製精米由来の米粉とは違って、胚芽やぬかも残った状態で粉砕しているので、栄養価が高く香ばしさも楽しめます。米粉に比べて色がほんのりとベージュがかっているのが特徴。揚げ物はカリッと仕上がり、パンや焼き菓子に使うと香ばしさをより感じられます。ただし酸化が早いので、開封後は早めに使い切るのがおすすめです。

・道明寺粉

道明寺粉は、もち米を蒸し、乾燥させて粗く砕いたものです。おはぎや桜もちなど、粒感のあるもちもち食感の和菓子に使用されます。砂糖を使用しなくても、もち米特有の自然な甘みが感じられるのが特徴。粒の大きさは2ツ割~6ツ割まであり、細かくなるほどなめらかな食感になります。さらに細かく砕いたものは新引粉に分類されます。

米粉選びのポイント

米粉選びのポイント

明らかに変色している場合や、カビが発生している場合、すっぱいニオイがする場合などは使用せず、即廃棄してください。

正しい保存で米粉をおいしく活用

*パッケージの用途表示を確認する

米粉は製品によって「製パン用」や「製菓用」など、用途に応じた表記がされているものがあります。購入時の目安としてチェックしてみてください。

用途に合った米粉を使用することで口当たりやふくらみ、まとまりが歴然。和菓子用の米粉にも用途が記載されていることが多いので、購入前にしっかりと確認してくださいね。

*失敗しないための選び方

米粉選びにはいくつかのポイントがありますが、一番は用途に合っているかが重要。レシピを参考にする場合は、指定された米粉の種類や用途表示のものを選ぶと、吸水率のズレがなく失敗が減ります。

吸水率がわからない場合は、米粉と同量の水を混ぜて吸水性を確認する方法も。米粉と同量の水を混ぜて固まりができる場合は吸水率が高い米粉です。見た目は似ている米粉ですが、製品によって性質が異なるので、しっかりと見極めることが大切です。

*手軽に使いたい場合はミックス粉がおすすめ

パンや天ぷらなど用途ごとに特化したミックス粉は、米粉に慣れていない人でも扱いやすいのが特徴。もちもち、ふわふわ、サクサクなど、用途によって適した食感を生み出してくれます。手軽に使えるミックス粉ですが、なかには小麦粉や卵、乳製品などを加えた製品もあるため、グルテンフリーやアレルギーが気になる人は成分表をきちんと確認することが重要です。

料理やお菓子の目的に合わせた米粉を選ぼう

米粉は、和菓子や洋菓子、パン、料理など幅広く使えるのが魅力。グルテンフリーを実施している人や、小麦アレルギーがある人でも、小麦粉と変わらぬおいしいお菓子や料理が楽しめます。米粉ごとの用途や特徴などを知れば、初心者の人でも気軽に米粉メニューにチャレンジできますよ。作りたいメニューに合った米粉を選び、レパートリーを増やしてみましょう。

【参考文献】

※1. 米粉の用途別基準 | 日本米粉協会
https://www.komeko.org/standard/
(2025/08/01参照)

コラム一覧へ