日本一うまいからあげ屋を決める「からあげグランプリ」。その運営を担う、日本唐揚協会で専務理事を務める八木宏一郎さんは、自身も全国のからあげを食べ歩いてきたカラアゲニストで、おいしいお店の情報はもちろん、からあげの歴史やトレンドなどにも精通しています。そんな八木さんによると、これからのからあげにおいて、サクサクの食感が持続する米粉が注目食材のひとつなのだそう。そんな、からあげと米粉のおいしい関係について、お話を伺いました。
国民食ともいえるからあげは、専門店がたくさんあるのにも関わらず、グルメサイトには「からあげ」のジャンルがなく、専門的に紹介する媒体がない。そんな点に気がついた八木さんは、2008年、代表の安久鉄平さんとともに日本唐揚協会を設立。全国各地のからあげが一堂に会するイベントやおいしいお店を表彰するグラプリ、キャンペーン、カラアゲニスト検定などを行うほか、統計調査も行っています。
からあげはなぜおいしいの?重要な要素のひとつ“食感”
老若男女から愛されるからあげですが、そもそも、そのおいしさの秘密は何なのでしょうか。 「おいしいからあげには原理原則があります。お肉はどの部位を使うかということや色味、食感など。からあげグランプリの採点では、衣・揚げ・汁という基準で点数をつけています」と八木さん。
そんななか、この数年、重要視されるようになっているのが“食感”だと言います。 「からあげの場合、食感って言うのは衣、皮、肉をどう表現するのかで決まります。特に衣による食感への影響は大きく、お店ごとに工夫を凝らしている部分です」。
それでは、からあげの衣にどんなバリエーションがあるのでしょうか。家庭でも取り入れられることが多く、ベーシックなのは、手には入りやすい小麦粉、片栗粉。お店でも、これをブレンドするなどして使用することが多くあります。粉ごとに、どのような仕上がりの違いがあるのでしょうか。
「小麦粉はふわっと、片栗粉はカリッとサクッとした食感になります。粉の種類だけでなく、付け方でも食感に変化が生まれます。どぶ漬けという水溶き粉を使うパターンや、タレに漬け込んだお肉を揚げる直前に粉を付ける後打ち、粉を付けてから寝かせる先打ちなどがあります」。粉と付け方を組み合わせで、衣の食感を表現していると八木さんは教えてくれました。
大きく、カリサクの薄衣に!変わりゆくからあげのトレンド
バラエティ豊かに進化してきたからあげにもトレンドがあるそうで、近年は、2009年以降から続く第2次からあげブームの渦中にあります。
「昭和30年代以降は、いわゆる名店ができはじめた、第1次からあげブームです。最初のムーブメントの時は、貴重な鶏肉を揚げ物にすることが主の料理だったため、衣はありものでよかったと考えられます。そのため、小麦粉がメインのフワッとしたからあげが主流でした。2009年以降の第2次からあげブームは、からあげ専門店が全国に広がったことがきっかけです。その専門店ブームにともなって、使う粉も片栗粉がメインになってきました」と八木さんは語ります。
そのため現在は、それまで多数派だった小麦粉を使うことは少なくなり、片栗粉ベースでカリッとしたからあげが多い傾向。そして、サイズにも変化があると八木さんは話します。
「10年前のからあげは25gくらいで衣が30%くらいだったのに対し、今では35gくらいで衣の割合が10%に。薄衣にして、お肉のおいしさをダイレクトに伝えたいというからあげが増えているんです」。
食感の可能性を探る。その先にある米粉とからあげの関係
専門店ブームにのってムーブメントになり、確立された薄衣で大きなからあげ。その先を見据え、さらに食感や味の楽しみ方を工夫する動きがあるそう。
「米粉やタピオカ粉を配合したり、タレをかけたりと多様性が出てきているのが今です。中でも米粉は、これまでの片栗粉を使ったカリサク系のからあげに、もっとライトにサクッとした食感を立たせたい、となった時に合うと注目されています」と八木さん。
米粉は衣に使った時にサクッとした食感になる特徴があるものの、小麦粉や片栗粉に比べて剥がれやすく、米粉100%の衣を作るのは難しいそう。そのため、ブレンドの黄金比を研究することが必要になってきます。
「片栗粉ベースの衣に、米粉やコーンスターチ、タピオカ粉などを加えるなど、各店が工夫しながら食感の可能性を探っています。その時に米粉をもともと使っていたり、使うことを研究しているお店も多い。今回、「米粉を使ったメニューフェア」に参画したのは、おいしいからあげを目指している皆さんと新しい食感を探し、おいしいからあげをもっと増やしたいという思いから。食感の可能性を探るために米粉に注目していて、一緒に取り組んでくれるお店に声がけをしています」と八木さんは話してくれました。
八木さんが「米粉を使ったメニューフェア」への参加を呼びかけているのは、からあげグランプリ受賞店が中心。すでに米粉を使ったからあげを商品化しているお店や米粉を使った新メニュー作りをしているお店、キャンペーンをきっかけにメニュー開発を始めるお店などさまざまで、順次参加店が増える予定。チェーン展開している飲食店やテイクアウト専門店もあるので、全国各地で米粉を使った新しい食感の唐揚げが食べられます。
最後に八木さんから、メッセージをいただきました。
「おいしいからあげを構成する要素の中でも、衣を含む食感というところを注目してほしい。その時に米粉が果たす役割が、今までなかった食感に通じてくると思っているので、そこを注目して食べてみてほしいですね。また、揚げたてのからあげだけでなくて、時間を置いた時の変化も注目してほしいポイント。米粉を使った衣はサクサクの食感が、時間が経っても残っていて、ヘタらない。そんなからあげの経時変化も楽しんでもらいたいと思います」。
薄くパリッとした衣の食感が楽しめるからあげとして、これから米粉を衣に採用する店舗が増えていくかもしれません。
八木宏一郎氏
一般社団法人日本唐揚協会 専務理事 2008年に大のからあげ好きが高じて日本唐揚協会を創設(2010年より一般社団法人日本唐揚協会)。テレビやインターネットなど、あらゆるメディアを駆使して今日のからあげブームの火付け役となる。飲食店やスーパー、大手メーカーの商品開発のほか、からあげに関する書籍のプロデュースなどにも携わっている。
米粉の魅力新発見!全国各地の飲食店で米粉料理が食べられる
「米粉を使ったメニューフェア」の情報はこちら
2023年11月1日(水)から2024年2月29日(木)の期間限定で、大手外食チェーンや日本全国の飲食店が参加する「米粉を使ったメニューフェア」が開催されます。既存の米粉メニューだけでなく、このフェアのために新たに開発された米粉メニューやフェア限定メニューを提供されます。期間中に好きな米粉料理を食べてX・Instagramで写真投稿すると抽選で豪華景品が当たるキャンペーンも実施中!