お米の糖質はスターチ。正しい理解はここから!
近頃、お米を控える人が多いのは、「糖質」という言葉が誤解を生んでいるからだと思います。ご飯茶碗1杯分は角砂糖何個分という例え方を見受けますが、お米と砂糖は全く別物。英語にすると違いがわかりやすく、糖質には、シュガー(糖類)とスターチ(でんぷん)があり、このでんぷんに食物繊維を加えたものが炭水化物、つまりお米などの穀類です。
糖質オフやロカボがブームですが、でんぷんは大事なエネルギー源。主食となるご飯を控えていると体力が落ち、筋力が低下して、フレイル(虚弱)になってしまうこともあります。
食物繊維もしっかり摂れる
もう一ついいことがあって、食物繊維の分析法が進化してお米には食物繊維が多いことがわかってきました。さらに、お米の糖質には食物繊維に似た機能性があり腸活にとても有効です。腸活というと乳酸菌や発酵食品など、菌のほうに目がいきがちですが、実は腸内環境を整えるベースになるのはでんぷんと食物繊維です。
日本人はもともとお米を食べることで、でんぷんと食物繊維をしっかり摂り、腸内環境が整えられていました。でんぷんに整腸作用があることは、さまざまな研究で多くのデータが集まっています。
ご飯を食べて腸から元気になる!
お米は腸内環境を整える腸活食材です。お米のでんぷんは分解される過程で、まずエネルギー源になり、そこで分解しきれなかったものがオリゴ糖になって腸内環境を整えます。さらに分解されないものは、レジスタントスターチとして大腸まで届いて発酵し、酪酸などの有機酸を生み出し、腸の中の有用菌や腸壁を活性化させてくれます。
野菜だけでは足りていない食物繊維
食物繊維は野菜から摂るイメージが強いと思いますが、実は穀物由来の食物繊維が大事。昔と比べて日本人の食物繊維の摂取量は大きく減っています。1955年と2019年の比較では3割減で、野菜からの摂取量はそれほど減っていませんが、穀物由来の食物繊維の摂取量は7割も減ってしまっています。
お米から食物繊維を摂れば、それが整腸作用につながり、便秘の改善にも役立ちます。おいしいお米をしっかり食べれば、腸も気持ちも整うのではないでしょうか。
ご飯とお味噌汁、お米は究極の健康食
基本的にご飯が嫌いな人は少ないと思います。安心して食べてください。白ご飯は米に水を入れて加熱するだけ。油、調味料が入らない調理法でおいしく食べられる貴重な食品です。
家計にもやさしい
白ご飯、具だくさんの味噌汁、おかず1品の一汁一菜を、私は推奨しています。
おかず半分、ご飯は倍に。食費のほとんどを占めるおかずを半分にすれば、食費がほぼ半分になり、ご飯を倍にしても毎月の食費を劇的に抑えることができます。私のおすすめは、浮いたお金でお米のランクを上げることです。お米5kg2000円の場合、ご飯は茶碗1杯(炊飯後150g)で27円程度です。例えば、5kg4000円(茶碗1杯54円)にグレードアップするだけでご飯がとてもおいしく幸せに感じることもできます。
主食として1日3食、たんぱく質もお米から
朝昼晩、米などの主食を摂ってほしいです。穀物にはたんぱく質も含まれています。たんぱく質というと動物性の肉魚卵、植物性の大豆をイメージしますが、実際に日本人がたんぱく質を摂取している食材の内訳を見ると穀物の割合も少なくありません。大豆をたくさん食べるのは大変ですが、ご飯は主食として茶碗1杯(炊飯後150g)を1日3食で無理なくゆで大豆、煮豆など100gと同量のたんぱく質を摂ることができます※。
髪や肌をつくるアミノ酸を効率的に
アミノ酸はたんぱく質を構成し、肌・髪・爪・骨・筋肉をつくる重要な成分。お米は小麦と比べて必須アミノ酸のバランスがいい上、大豆と組み合わせて食べることでアミノ酸バランスが肉レベルに近づきます。そのため、ご飯には大豆食品を組み合わせるのが効果的です。つまり、ご飯とみそ汁をしっかり食べることで、たんぱく質レベルが一段とアップします。
実は、安心して食べることは美容と健康にとても大切。罪悪感と戦いながら食べるのはストレスになり、消化、吸収、代謝が悪くなりますが、お米が体にいいことがわかれば、安心して美味しく食べられますよね。それが一番の効果だと思います。
米粉を使って主食のバラエティを増やす!
お米はエネルギー源であり、腸活によく、体をつくるたんぱく質も効率よく摂れる健康食材です。米粉はカタチを変えたお米とも言えます。最近では米粉をいろいろな料理に取り入れたメニューも増えています。
米粉や米粉製品にも注目
米粉で主食や主菜・副菜のバリエーションが増えています。特に、麺類がすごくおいしくなっていて、小麦のうどんと食味が変わらない製品が出てきているのでとても期待しています。最近の仕事でおいしい米粉のパン屋さんを知ったので、プライベートで食べに行こうと思います。
大阪では衣に米粉を使っている串カツ店も見つけました。米粉は吸油率が低いので、サクッと揚がり、胃にもたれにくく、摂取カロリーを落とすことができます。シチューやデザートなどにも小麦粉の代わりに米粉を使うことができ、米粉自体には味の主張がないので、介護食のとろみづけや離乳食にもいいと思います。ご家庭では、まず片栗粉や小麦粉と同じ感覚で料理に米粉を使ってみてはいかがでしょう。
※参考元:日本食品標準成分表2020版(八訂)