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お話をお聞きしたボディビル・フィットネス競技者の皆さん。右から、須江正尋さん、鈴木雅さん、大谷美咲さん、安井友梨さん、川中健介さん、浦川天聖さん。

健康的な体づくりのために食事で気を配っていることは?

ボディビル・フィットネス競技者として、健康的で美しい体づくりを意識されている皆さんに、食事で気を配っている点をお聞きしました。

腸内環境を良くして多彩な栄養を摂る

安井友梨さん(以下、安井さん):

私が今一番気を付けているのは、腸内環境を良くすることです。腸の吸収状態を良くして、栄養を体に摂り入れることを意識しています。
1日30品目を心がけており、野菜もさまざまな種類を用意。いろいろな食材を食べることで、さまざまな栄養素を摂取でき、腸内環境も良くなります。見た目もカラフルで楽しくておいしい食事を意識しています。

大谷美咲さん(以下、大谷さん):

私が気を付けている点は「お腹いっぱいまでは食べない」ということ。腹八分目にとどめておくようにしています。昔はお腹いっぱいで動けなくなるまで食べていましたが、今は「まだ食べられるけど、このくらいにしておこう」という感覚になりました。それが苦ではなく、食事を一番おいしく楽しめます。

鈴木雅さん(以下、鈴木さん):

私は筋肉をつくるときと代謝を下げずに減量するときに、食事に気をつけます。筋肉をつくる上では「トレーニング」「食事(栄養)」「休養」が重要です。その中で食事(栄養)が占める割合は、トレーニングと休養と同じぐらい大きいです。
ボディビルの体づくりでは、減量や増量を繰り返しますが、自分にとって合う食事、合わない食材が出てきます。私は現役時代、アレルギーになるものを控えながら、あまりカロリー摂取量は下げずに、トレーニングで減量するようにしていました。

ストレスがないように、自分に合う食材・食事を考える

須江正尋さん(以下、須江さん):

正直に言うと、今は食事に全然気を配っていません。ただ、食生活を振り返ると、食材の種類は多いし、動物性の脂肪はあまり摂っていません。それから、体を冷やさないようにしていますね。先ほど安井さんが「腸内環境を整える」と言っていましたけど、体を冷やさないのは消化・吸収にも良いかなと。
長年ボディビルをやってきたので、鈴木さんが言うとおり、自分に合うもの、合わないものがわかってきました。気は使っていないけど、自然に自分に合う食事を摂るようになっていますね。

川中健介さん(以下、川中さん):

私は大豆製品が好きなので、納豆や味噌汁、豆腐などを食べるようにしています。トレーナーに勧められたのですが、試してみたら自分の体とすごく相性が良いですね。
それから、運動のパフォーマンスを考えて、腸内環境には気を使って、食物繊維を多く摂るようにしています。

浦川天聖さん(以下、浦川さん):

特にオフシーズンは、ベースとなる食事は決めていますが、それにプラスして好きなもの、ハンバーガーやドーナツ、アイスやお菓子なども食べてストレスなく過ごすようにしています。 今は減量期なので、手間をかけた料理よりも、素材そのもので栄養を摂るというか、簡単な調理・味付けで済ませることが多いですね。その方がストレスなくおいしく食べられます。

健康的な体づくりのためにお米をどのように摂取していますか?

腸内環境を意識したり、ストレスなく自分に合う食材や料理を工夫されている皆さんですが、その中で、お米をどのように取り入れているかをお聞きしました。

しっかりお米を食べて代謝を上げる

安井さん:

私は1日に5回、3時間おきに食事をします。今はオフシーズンなので、お米については1回につき200グラム、1日に1キロは摂ります。
今は体をつくる時期なので、お米をしっかり食べて、代謝を上げて増量しているところです。お米を食べながら、減量していける体をつくり上げるのが今の目標です。
腸内環境を考えてグルテンフリーを意識していますが、私はお米を食べると便秘が解消されます。自分の腸内環境にどの食材が合うかを考えるのはとても重要ですね。

大谷さん:

基本的に、エネルギー源として摂る炭水化物はお米ですね。白米やお餅が多いです。1食で180~200グラムほど食べます。うどんやパスタも食べますが、できるだけ素材そのもの、添加物や調味料が入っていない自然のものを摂りたいと思ってお米を選んでいます。
私は新潟の出身で、実家が農家なので、昔から食卓においしいお米が常にありました。お米はエネルギーが出るし、食べた充実感がすごくあります。

鈴木さん:

うちの実家も父親がお米をつくっており、お米にすごく馴染みがあります。炭水化物・糖質はトレーニングのエネルギーになります。現役時代は減量中も体重を増やすときも、お米をしっかり食べるようにしていました。
私は血液検査により小麦や乳製品に対するアレルギーを持っていることがわかりました。減量のときにアレルギーのあるものを食べると、 体がむくんで代謝が落ちたり、減量がしにくいこともありました。お米以外のものを食べると、眠くなるなどトレーニングのパフォーマンスも上がらないので、年間を通してお米をしっかり食べて過ごしていました。

お米を摂ると筋肉の張りが違う

須江さん:

以前、私はお米を食べませんでした。特に減量期にはタンパク質しか食べない時期が長かったですね。でも、だんだん歳をとってきて、調整がうまくいかなくなってきました。そこで、最近は玄米を食べるようになりました。その方が代謝は上がるというか、筋肉自体が元気な感じがします。年を重ねるごとに、何もしなければ筋肉は落ちていきます。それをトレーニングで維持するフェーズに入っていますが、お米を食べるようになってから、選手寿命が伸びている感じがしますね。

川中さん:

自分は基本的に、炭水化物は毎回お米を摂るようにしています。大学時代はずっと一人暮らしで、朝にご飯を5合炊いて、それを1日で食べ切るという生活をしていました。
トレーニングを始めるとだんだん筋肉が大きくなり張っていきますが、限界まで運動した後は筋肉がしぼんできます。そのあと食事でお米を摂ると、筋肉がトレーニング時の張りに戻るのです。お米を摂るのと他の炭水化物を摂るのでは、筋肉の張り方が全然違います。

浦川さん:

基本的にオフシーズンは1日に6食前後食べますが、メインの炭水化物はお米で、だいたい1食250~330グラムくらいは摂りますね。他の糖質源に比べて、量の調整がしやすく、調理も洗って炊くだけなので楽です。他の食材も試して、体に一番合っているのがお米でした。

お米を食べないとどんな影響がありますか?

世の中では糖質ダイエットなどでお米を抑えている方もいらっしゃいますが、お米の摂取・不摂取がご自身の体に与える影響について伺いました。

体の不調やパワー不足を実感

安井さん:

私の場合、お米を食べないとすぐに便秘になってしまいます。全国各地で女性限定のセミナーをさせていただきますが、ダイエット中に便秘になる女性は多いようです。糖質制限など、お米を食べていない人が多くて「一回騙されたと思ってお米を食べてみて」という話をしています。
私の場合、お米を食べると体温が上がります。冬でも汗が出てしまうぐらい、すごく代謝が上がる感覚があります。冷え性で悩んでいる女性は、お米を食べていただくと解消できるのではないかと。睡眠の質も良くなります。

大谷さん:

私の場合、トレーニングでパワーを出すためにはお米が一番。ほかの炭水化物だとお米に比べてパワーが出ない感じがします。お米はシンプルなおかずで食べられますが、他の炭水化物だと味付けをしないとなかなか食が進まないこともあり、アスリートの目線でお米は重要だと思います。

鈴木さん:

ボディビルでは瞬発系のエネルギーを何度も出すため糖質がとても必要になります。その元となるお米の良さは満足度の高さです。お米はよく咀嚼して食べることで満足度が高まり、いろんな味付けや他の食材に合わせられるのも満足度に繋がります。麺類などは一品だけになりがちですが、お米は定食として食べれば副菜など彩りも豊富で視覚的にも満足できます。

炭水化物を摂らないと、体の見た目が変わる

須江さん:

自分は炭水化物を摂らなくてもトレーニングのパフォーマンスはそんなに変わりません。ただ、炭水化物を摂らないと、体の見た目が変わります。ボディビルは見た目の勝負でもあり、炭水化物を摂らないで減量していくと、見栄えが悪くなる。コンディションが上がらず、体重が落ちて筋肉も萎んでいくような感じ。ダイエットして気持ちが落ちていくようでは意味がない。そういった意味では、しっかりお米を摂って、継続する方が良いと思いますね。

川中さん:

自分はかなり高重量を扱ってトレーニングしますが、普段よりお米を食べる量が減ると、いつもより重く感じたり力が発揮できなくなります。トレーニング中の筋肉の膨張率も全然違います。なので、お米はあまり減らさない方が良いと個人的には思います。

浦川さん:

一昨年の減量中に、糖質源をいろいろと変えてみたところ、お米以外を食べていたときは除脂肪(筋肉量を減らさずに脂肪を落としていくこと)の進みが止まりました。パワーも落ちました。
ジャガイモやカボチャなどは、お米に比べて1食で食べられる量は多く満足感を得られるのですが、すぐお腹が空く。除脂肪が止まってしまうとストレスにもなります。お米は腹持ちが良くて一番減量期に良いと思います。

世界で活躍するボディビル・フィットネス競技者の皆さんは、健康的で美しい体づくりのための食事の重要性を身をもって実感されていました。炭水化物を含む多様な栄養素を摂り入れて、腸内環境を整えて新陳代謝を促すこと。自分に相性の良い食材を見つけて、ストレスのない食事をすること。その中で、お米が重要な役割を果たしていることがわかりました。

公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟

公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟

JBBF(日本ボディビル連盟)は1955年10月に「日本ボデイビル協会」の名称でボディビルの普及振興と共に、国民の健康増進と体位の向上を実現することを目的に設立。1992年に日本のボディビル活動を統括する社団法人として当時の文部省より正式認定を受け、日本を代表する多くのアスリートの活躍を支えています。

●安井友梨さん

JBBFオールジャパンビキニフィットネス8連覇中・グランドチャンピオンシップス優勝・アジア選手権オーバーオール優勝
2023アーノルドクラシックヨーロッパフィットモデル172cm以下優勝・マスターズ35歳以上優勝・オーバーオール優勝・2023年IFBBフィットモデルワールドカップ172cm以下級優勝

●大谷美咲さん

JBBFオールジャパンボディフィットネス3連覇中・グランドチャンピオンシップス優勝・2023年IFBB世界ボディビル&フィットネス選手権ボディフィットネス158cm以下級優勝・マスターズボディフィットネス35~39優勝・オーバーオール優勝

●鈴木雅さん

2010年よりJBBF男子ボディビル日本選手権9連覇・2016年アーノルドクラシックアマチュア男子ボディビル80kg級優勝・世界選手権80kg優勝・パーソナルトレーナーとして数多くのアスリート指導

●須江正尋さん

2008・2009日本男子ボディビル選手権2位・2023日本クラス別75kg級優勝・2023年IFBB世界ボディビル&フィットネス選手権マスターズ55~59歳75kg以下級2位

●川中健介さん

2023年IFBB世界ボディビル&フィットネス選手権ジュニアクラシックフィジーク21~23優勝・ジュニアメンズクラシックボディビル21~23優勝・2023日本クラシックフィジーク175cm以下級優勝

●浦川天聖さん

2023年オールジャパンジュニアフィットネスメンズフィジーク172cm以下級優勝・オーバーオール優勝・2023年IFBB世界ボディビル&フィットネス選手権ジュニア(21~23)174cm以下級メンズフィジーク優勝

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