米粉の魅力や汎用性を発信してきた米粉アンバサダーのドグエン チランシェフと、米粉プロジェクトアドバイザーの白井ひで子先生が子どもたちに米粉を知ってもらうため、米粉を使用した特別米粉給食を小平第六小学校の全児童に提供。自校式の調理場で作られた米粉メニューや米粉について学んだ児童たちの様子をレポートします。
「お米と米粉の魅力」を料理のプロから学ぶ
東京の小平市にある小平第六小学校は、学校の敷地の隣に農家や地域と協働で150平方メートルほどの棚田を作り、田植えから収穫まで行っている都内でも珍しい学校です。
今回の講座では、同校の4年生がチランシェフと一緒に米粉に触れたり味わったりしながら米粉の魅力について学びます。
ベトナム人の両親を持つ移民二世のチランシェフは、東京生まれ東京育ち。高校在学時にレストランでアルバイトしたことがきっかけで料理人に。現在は広島に移住し、ベトナム料理とワインが楽しめる「CHIRAN」のオーナーシェフをしています。
ベトナムと日本のお米の違いとは?
日本ではお米の収穫は年に一回ですが、ベトナムには四季がなく一年中暑いため、年に三回お米が採れます。
ベトナムのお米は日本のお米よりも粘りや甘味が少なく長細いのが特徴。
年に三回も収穫をするベトナムでは、余ってしまったお米を粉にするなどさまざまな工夫で形を変えて保存し、無駄にすることなく食べています。
生春巻きで使うライスペーパーや、フォーに使う米麺など、乾燥させることで長く食べられるようにしています。
“推し活”のように楽しみながら農家を応援
「みんなは何か“推し活”ってしていますか? みんなが好きなアイドルやキャラクターも、応援してもらえたら頑張れるけど応援してくれる人がいないと頑張るのがつらいよね。仕事がなくなってアイドル辞めちゃうかもしれない。
農家さんも同じで、応援してあげないと続けることができなくなってしまう。私はお米が大好きなので『お米』を推し活しています。選ぶことは応援することにつながります。みんなはどれを応援したいかよく考えて選んでほしいと思っています。」とチランシェフ。
実は農家さんを応援することで、農家さんは田んぼを守り、その田んぼがさまざまな自然を守ることにつながりますと白井先生が話し、農林水産省が作った資料の図解をみながらその仕組みなどを学びました。
米粉と上新粉、小麦粉、どこが違うのか触り比べてみよう
実際に米粉を触って、他の粉との違いを体験。ABCの袋に入った粉をそれぞれ触り比べ、違いや特徴を感じたあとは、触った指をセロテープにつけて、指紋を見てみます。実験のような体験に児童たちもワクワクした表情。
Aの粉は、小麦粉。小麦は柔らかいので粉にしやすく、Bの粉は上新粉というお米の粉。団子などの和菓子に使用されます。
Cの袋は、いろんな技術の工夫によって、堅いお米をより細かくした米粉です。今日の給食で使用している「新用途米粉」がこれです。米粉を使った麺やケーキを調理します。
米粉を使ったクッキーを味見!小麦粉との違いを味わってみた
「新用途米粉」の手触りがわかったところで、米粉を使った手作りのクッキーを特別に味わってみることにしました。
「サクサクしてる!」、「普通にクッキーだ!」、「香ばしくて美味しい!」など、児童たちはとても気に入った様子。
「ごはん」としてしか知らないお米を粉にすることで違う料理にすることができ、さらにはこんなに美味しいクッキーができるなんて!
今まで米粉を知らなかった子も多く、驚きと興奮でますます給食への期待が高まります。
チランシェフが考案した給食メニューを実食
給食の時間になり、プロのシェフが考案したベトナム風の献立を給食で味わえる特別感に、児童たちも嬉しさを隠せない様子。
チランシェフを囲んで、お楽しみの「米粉給食」を実食。メニューは「ベトナム風 鶏の米麺(フォー)」、「魚の米粉揚げ」、「柑橘ドレッシングのサラダ」、「米粉バナナケーキ」そして牛乳。調理に使う米粉は国産100%の米粉、フォーの麺は新潟県上越産のお米を使用して作られた米麺です。
遠い国の料理だと思っていたフォーも、食べることで親近感がわいたようです。チランシェフのお店で人気な生春巻きもコンビニやスーパーなどでも販売していて、ベトナム料理は思っていたよりも身近な存在でした。
最後に、チランシェフから「いつか大きくなった時に、お店に遊びに来てね」といわれると「絶対行く!」「大きくならなくても行く!」と答えるなど、すっかり米粉料理の魅力とシェフが考案した料理にハマっている様子。
お米が変化してさまざまな食品になることを学習しましたが、限られた時間で全部を理解するのは難しいかも知れません。しかし触ったり食べたり体験することで、新たな視野が生まれたようです。
「帰ったら家族と話をしたり、次にパンやクッキーを買うときに、米粉や小麦粉が使われていることに気がついたりなど、新しい気づきを得ることができたのでは」と手応えを感じたチランシェフ。児童たちにとっても、お米の魅力を今まで以上に知ることができた特別な日となりました。
●特別授業で使用した冊子教材を配信しております。下記URLよりご参照ください。
参照URL:https://komeko-times.jp/news/news58/