妊娠中の食事からストレスをなくしたい
日本マタニティフード協会は、妊産婦さんの食を快適にしていくことをミッションに活動しています。妊娠中に何を食べたらいいのか、何を避けたほうがいいのか、調べることがストレスになり、学術の世界と日常の生活にはギャップがあります。私たちはそのギャップを埋めることでマタニティ期のストレスを軽減し、より快適なマタニティ生活をサポートできる存在を目指しています。
限られる食に米粉という選択肢
山本代表:きょうは、協会の活動をサポートしてくださっているアンバサダーのママさんたちと、マタニティの食について話したいと思います。みなさんも妊娠中の食に不安があったのではないでしょうか。
林理恵さん(以下、林さん):私はつわりで食の範囲が限られてしまう時期が辛かったです。助産師として妊婦さんと接するなかでも、食べられるものを選択する困難さや食の制限に悩む方が多く見受けられました。
山本代表:アンバサダーのママさんたちへのアンケートでも、約半数がつわり中にご飯を炊く匂いがだめでお米が食べられなかったと答えています。そうすると主食のひとつがなくなってしまうので、米粉という選択肢を持っておくのは、妊娠中の食事を楽しむために大事なことかもしれません。
マタニティフードマークの意義
野村佳代さん(以下、野村さん):第一子のときは食べていいものを入念に調べていましたが、だんだんストレスを感じて少しずつ制限が緩くなりました。マタニティフードマークが、自分のときにもあったら嬉しかったなと思います。
山本代表:マタニティフードマークは、何を避けたらいいのか調べるストレスを解消することを目的としています。ただでさえ食事に制限がかかり、つわりで食べたくても食べられないのは辛いことです。最低限避けるべき栄養素や成分を含まなければ認定するのが私たちの基準です。
マタニティフードとグルテンフリー生活、重なる環境
日本のどこのエリアのどのお店に入っても、事前に調べることなくマタニティフード認定の商品やメニューがある状態が理想。グルテンフリーと重なる部分も多いようです。
グルテンフリー生活は難しい
山本さん:妻の妊娠中はカフェインを控えていましたが、デカフェのコーヒーがあると明確にわかっているカフェはひとつしか思い当たりませんでした。同様にグルテンフリーで困ったことはないですか。
出口文音さん(以下、出口さん):妊娠中はグルテンフリー生活をしていたのでかなり不便でした。お惣菜を買うにしても気になるので、手づくりしたり、外食は和食を選んでいました。産後のほうが、娘に食べさせるものも含めてグルテンを気にしています。小麦粉を米粉に置き換えて料理をつくれたら食の幅が広がると思い、米粉のクッキーを手づくりしましたがなかなか難しくて。今もおにぎりを持ち歩く生活をしていますが、簡単に作れる米粉のクッキーのレシピがあると嬉しいですね。
マタニティはこれからの食を見つめるタイミング
食べることへの不安や制限が多いマタニティ期は食について考え、出産はそのスタイルが変わるときかもしれません。
もっと米粉を使えたら、広がる食のバリエーション
林さん:私自身はグルテンを大きく避けることはありませんでしたが、消化不良を起こしやすいなどの報告もあり、子どもの食事にはできるだけ米粉を使用するようにしています。ただ、小麦粉の値段からすると米粉は高いので、もう少し安く買えるようになればもっと食事に取り入れられるのにと思います。
野村さん:食育と台所育児を兼ねて子どもたちと料理やお菓子づくりをしているので、小麦粉を使っているものを米粉に移行できたら最高だなと思います。朝にパンを食べる日は昼と晩はご飯にしてバランスを取りたいので、子どもたちが好きなパスタやピザも米粉で満足いくおいしさにできれば、普段の生活が素敵になりそうです。
山本さん:山本家では妊活中に夫婦で食事にこだわっていた時期があり、グルテンフリーやベジタリアンなど、いろいろな食生活にトライしました。妊娠中はつわりなどで食が制限されるので特にこだわらずに食べられるものを食べ、産後は子どもと一緒に食事スタイルを変えていきました。出産を軸に食は変わるので、そのときに米粉が大事な役割を果たすと思っています。
大切にしたい、食べる楽しさにつながる米粉
子どもと一緒に米粉に親しむようになったというアンバサダーのみなさん。離乳食、麺、ドリンクなど、さまざまな米粉商品があることも嬉しい驚きでした。
グルテンフリーはみんなのもの
山本代表:最後にここ、Tokyo Family Marche(東京ファミリー・マルシェ)について、ストアマネージャーの出口さんからご紹介いただけますか。
出口さん:2023年8月に有明ガーデンにオープンし、世界でいちばんママに優しいお店をコンセプトに運営しています。マタニティフード認定や加盟各社のものをメインに、全国各地から選りすぐりの商品を集めています。グルテンフリー商品を求めて来られる方もいらっしゃいます。
山本代表:私もオープン当初は毎日お店に立っていましたが、小麦アレルギーの方がこの店を見つけて初日からリピートしてくださり、毎週土曜日に入れていた米粉パンを必ず買いに来られました。グルテンに気を遣う方は、ママさんに限らず多いと感じています。
ママさんたちも期待する米粉の可能性
山本代表:協会を立ち上げたとき、妊産婦さんを対象とするビジネスは成り立たないという見方が大多数でした。でも、私たちは間違いなくその先に価値ある未来があると信じています。この店が機能することで、妊産婦さん向け食品ビジネスの見込みを実証できると思っています。
「米粉が普及していったら面白くないですか」と、全国約300人のアンバサダーさんチャットで投げたら、「米を食べるのは大事」「日本人として意識している」というレスポンスがたくさんありました。この座談会でも簡単につくれるレシピやキットがあるといいという話があったので、未来へ続く食の選択肢を広げるために、協会でも米粉を使った取り組みを考えていきたいですね。
一般社団法人日本マタニティフード協会
マタニティ期の食事の不安やストレスを解消することを目的に設立。マタニティ期(妊活、妊娠、授乳期)におすすめできる商品やメニューへのマタニティフードマーク認定とその普及を目指して、全国で約300人のアンバサダーが活動しています。2023年8月、有明ガーデンに協会直営のTokyo Family Marcheをオープン。ママにやさしいマタニティフードやグッズを取り揃え、食育などのイベントを開催しています。
▼一般社団法人日本マタニティフード協会ホームページ
https://maternity-food.org